昨今、情報の発信手段は「静止画」から、より情報量の多い「動画」に移行しつつあり、ハンドメイド作家の方々でもインスタライブで情報を発信している方が増えています。こちらでは、「これからInstagramでライブ配信を始めてみたい」と考えている方に向けて、配信のポイントやコツをお伝えします。
なお、Instagramのアカウントの取得方法や、ライブ配信を開始する操作方法などは、「SNSアカウントを作成して販売ページを紐づけよう」やInstagram公式のヘルプページなどをご参照ください。
インスタライブとは
「インスタライブ」とは、Instagramのアプリ内でライブ配信ができる機能のことで、コメント機能で視聴ユーザーからリアルタイムに反応をもらうことができたり、エフェクト(フィルター)を使って、配信画面を加工することもできます。
配信にあたって事前に用意するもの(ハード面)
スマートフォン
インスタライブは、スマートフォンが1つあれば配信できます。気軽にできるところがインスタライブの最大のメリットです。自分でスマホの配信画面を見ながらお話しする、という感じでしたらスマホ1つで十分です。
スマートフォンを固定するスタンドなど
スマートフォンをずっと手に持って配信するのは腕も疲れますし、見ている側は手ブレにより画面に酔ってしまうこともありますので、「100円ショップで揃う便利な撮影グッズ」でも紹介しているようなスマホスタンドを使うことをおすすめします。スタンド部分の向きを変えて、スマホを任意の向きに固定します。
アームタイプのスマホスタンドや、俯瞰の撮影ができる三脚も便利です。予算は500円~3,000円ほどで、さまざまな種類がありますので、ぜひ検索してみてください。
LANケーブル
せっかく配信していても、途中で音声が途切れたり映像が止まってしまっては、配信者も視聴者も不安になってしまい、また、せっかく時間をつくったのに残念な気持ちになってしまいます。
ルーターの設置場所とは別の部屋から配信する場合は、Wi-Fi接続が途中で不安定になって配信が中断してしまうトラブルもあるため、安定した配信を行うために、LANケーブルを接続して有線で配信することをおすすめします。ケーブルを購入する際は、ルーターの設置場所から部屋までの距離をしっかり測り、スマホ用のアダプターを用意するのも忘れないようにしましょう。
インスタライブの仕様を知ろう
インスタライブは基本的に「縦」画面
カメラは横向きに向けて配信することもできますが、視聴者は「縦」で視聴するケースがほとんどですので、基本は「縦」画面で配信しましょう。
アウトカメラとインカメラの違いを理解しよう
左の写真は、スマホの背面についているカメラを通して配信する映像です。自分が写っている様子を確認しながら配信する場合は「インカメラ」を利用します。「インカメラ」は、左右反転した状態で配信されるため、本や図説のパネルなどを紹介する際は文字が反転するので注意が必要です。「アウト」と「イン」は、画面をダブルタップすることで切り替えできます。
この写真は配信開始前の画面です。この時点で「アウト」と「イン」の切り替えが可能ですので、準備をしてから配信をスタートしましょう。
白い服や背景ではコメントが読みにくい場合がある
配信中のコメントは、「白文字」で表示されます。そのため、白い服や背景で配信していると、コメントが読みにくくなってしまう可能性があります。配信者側の照明などによって状況が異なるため一概には言えませんが、念のため白い服や背景はできるだけ避けて配信すると良いでしょう。下の写真は、服の色の違いによる文字の見え方の比較です。
配信前のスマホの設定
ストレージの容量を十分確保しておく
インスタライブ終了後に、配信動画を保存することができますが、その際にスマホのストレージ容量が足りないとエラーが生じてしまいます。そのため、配信時には最低でも5GB程度空けておくと安心です。
フォロワーのオンライン状態を確認する
「せっかく配信したのに誰にも見てもらえなかった」という状況もゼロではありません。配信時間に迷ったときは、「自分のフォロワーのオンライン状態の人数」を確認し、時間帯を決める目安にしてみましょう。
この確認を行うには、Instagramの 設定>プライバシー設定>アクティビティのステータスを表示 を「オン」にします。この設定により、インスタライブの接続画面を開いたときに「フォロワー●人がオンラインです」という数字を確認できるようになります。ただし、この機能はアクティビティのステータスが「オフ」のフォロワーの数字はカウントされませんので、参考程度にとどめておいてください。
文字の表示サイズ
視力に不安がある方は、文字のサイズを通常より大きくしておくと、書き込まれたコメントを読む際に便利です。文字が小さくて見えにくいと、ついついカメラに顔が近づきすぎてしまい、気づかないうちに顔が大写しになっていた、なんてことにもなりかねません。文字の表示サイズは、スマートフォンの設定で調整しましょう。
※以下は、2023年2月時点の仕様となります。
配信の練習をしてみよう
配信開始画面で「共有設定」をタップすると、ライブ配信の共有範囲を設定できます。「練習」に設定すると、誰にも通知されず一人で配信の練習が可能です。練習中は、配信画面の右上に「練習」と表示されます。
配信中に確認すること
配信中は、次の項目を確認することができます。
①視聴者数と経過時間
画面上部に、リアルタイムの視聴者数が表示されます。「LIVE」の文字をタップすると、配信経過時間が確認できます。インスタライブの配信時間上限は、2023年2月時点では4時間です。
②固定コメント
コメントは、1つだけ固定表示することができますので、配信の途中から入ってきてくださった視聴者に向けて「今日の配信は何をやっているか」を固定コメントに書いておきましょう。③の欄から入力し、コメントがタイムライン上に表示されたら、コメントをタップすると「固定する」メニューが表示されます。
③コメントの入力と設定欄
コメント入力欄にある、縦に・が3つ並んだマークをタップすると、設定メニューが表示されます。
「モデレーター」とは、配信中にコメントなどで問題ある行動を管理し、特定の視聴者を外すなどの権限を与えられる方で、その方を1名設定できます。モデレーターはフォロワー外からも設定可能で、誰がモデレーターかは視聴者からはわかりません。ライブ中、配信者はいつでもモデレーターを設定から外すことができます。ライブ終了後、配信者はモデレーターの対応をまとめたレポートを見ることができますので、注意が必要なアカウントを把握でき、今後の対応に生かすことができます。
「ライブ配信リクエスト」とは、視聴者があなたのライブ配信に参加する(2画面で配信する)ための機能です。行う予定がない場合は、誤ってリクエストを送ってしまうことを防止するためにも「オフ」に設定しておきましょう。
作業風景を配信する場合、固定したカメラのコメントが読みづらい場合があります。タブレット等を持っている場合は、コメント確認用の端末をもう1台用意するのもおすすめです。
インスタライブはパソコンのブラウザからも視聴できますので、スマホ&パソコンの組み合わせも可能です。配信中のアカウントに、複数の端末からログインして配信操作を行うことはできませんので、上の写真のコメント確認用端末(iPad)では、配信用のInstagramアカウントとは別に、コメント確認用の別アカウントを用意して、一般の視聴者と同じ環境で配信内容を確認しています。この時、確認用端末からは配信音声が出ないよう、ミュートしておきましょう。
配信終了後に確認すること
インスタライブを終了すると、映像は自動的にライブアーカイブに保存されますが、次の画面でシェアするかを選択することができます。
①視聴者数
配信中に閲覧した人数の合計が表示されます。ライブ配信の閲覧数やコメント数は、インサイトで確認できます。
②、③動画を破棄/シェア
ライブ配信の動画を破棄するかシェア(公開)するかを選択できます。
何を配信するか迷ったら
「ライブ配信をしてみたいと思っても、どんな内容が良いか迷ってしまう」という方に向けて、ハンドメイド作家として配信する内容の一例をご紹介します。
作業場の紹介
アトリエなど制作の裏側を紹介することで、作品に興味を持っている方が、より興味を持つきっかけになります。お部屋全体を見せなくても、資材の収納方法の工夫や普段使っている道具の紹介なども良さそうです。
制作の様子の実況
「おしゃべりが苦手」という方は、もくもくと作業している様子を無言で配信するのも、まったく問題ありません。定点カメラで「●時~●時まで、作業の様子を配信します」といった予告の上でやってみるのもよいでしょう。
つくり方を教える
オンラインワークショップさながらに、詳しいつくり方を解説されている方もいます。例えば、キットを購入した方向けに「●月●日●時から、インスタライブでつくり方を解説します!」といった配信も興味をもってもらえるきっかけになりそうです。
販売予定の新作の紹介
「●月●日から新作を販売開始します!」というお知らせを、ライブ配信で行ってみるのはいかがでしょうか。同様の手法で、販売イベント出展の直前に、当日ブースで販売予定の作品を紹介したり、委託先に納品前に納品予定の作品を紹介する、といった内容もよさそうです。
作品の使用方法の解説
ヘアアクセサリーを使った簡単なアレンジ方法を紹介したり、お洋服を着用して紹介したり、2way・3wayと使い方にバリエーションがある作品を実際に触ってみたり、写真と文章では伝わりづらい情報を発信すると、作品のファンになってくれる方も増えるかもしれません。
雑談
作品紹介に限らず、ただただ日常の世間話をしたり、日々の制作活動についておしゃべりしたり、といった配信もアリです。自分の人となりを気軽に知っていただける良い機会になります。ペットや家族も配信に登場する、といったケースも、配信者を身近に感じられて、視聴者が楽しめそうです。
配信予告は日時だけではなく内容も伝えよう
インスタライブを行う際は、「いつ、どのアカウントで」以外にも「どんな内容を配信するか」もあわせて事前に宣伝するようにしましょう。定期的に配信を行っている場合は、いつもの配信がどんな雰囲気なのかをSNSで発信することで、お客様が視聴しようと思うきっかけにつながります。
配信後も「楽しかった!」を共有しよう
宣伝は、配信予告だけではありません。配信後に、今日話した内容や盛り上がったポイントなどをSNS等でもぜひ情報発信しましょう。配信を見られなかったお客様が「次は覗いてみよう」と興味を持ってくださるかもしれません。
作家のインスタライブは既存顧客に有効な場
minne LAB Instagramで作家・ブランドのみなさま向けに行っているインスタライブでの所感としては、インスタライブは「すでに知っている人により興味を深めてもらう場」として特に有効だと感じます。「インスタライブで新しいお客様をたくさん獲得しよう」というより「すでに私のことを知ってくれている方に向けて、もっと興味を持ってもらえるきっかけづくりをしよう」という場として活用することが、配信計画を立てやすく、入口としてやりやすいと思います。
お客様は非常にシャイで、作家側から見えないところでこっそりのぞき見しているケースも多々あります。インスタライブでコメントをいただいたりすると、「これまで交流のなかった方から反応があって、新規顧客獲得できた」と思われるかもしれませんが、実は以前から知っていて、より興味が出てきたので「コメントする」という接触行動に移ってくださった、とも考えられます。むしろ、後者のほうが大きいかもしれません。
欲張りすぎない、完璧を求めすぎない
インスタライブは、「アーカイブを残さない」選択肢があることで、気軽にライブ配信を始めることができます。配信に慣れてきて、情報を蓄積したくなったら、インスタライブに限らず、より動画配信に特化したYouTubeで動画を公開することも視野に入れてみると良いでしょう。初めての取り組みで不安なことも多々あるかと思いますが、追求すればどこまでも作業が発生するのが動画配信の奥深いところです。欲張りすぎず、完璧を求めすぎずにスタートを切ってみることをおすすめします。
動画配信を始めてみよう
Instagram配信にはさまざまな機能がありますが、まずは「自分が無理なくできる内容で配信をやってみる」ところから始めてみてください。いろいろな作家・ブランドのみなさまの配信を視聴するだけでも、とても勉強になると思います。
あらためて、視聴者が不安になる要素を次にまとめておりますので、配信する際はしっかりチェックをして、動画配信にチャレンジしてみましょう。
- 音声が聞こえているか(マイク、音量設定の確認)
- 映像や音声が途切れないか(ネット回線の調整)
- 途中から配信を見た人は、何をやっているのかわかるか(固定コメントを書いておく)
- 配信リクエストをオフにしておく(視聴者はつい押しがち)
それぞれにピッタリの「配信の目的」を考えながら、ぜひSNSでの「ファンづくり」にお役立てください。
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