作品写真は、背景を変えるだけで、見え方ががらっと変わってきます。
こちらでは「作品が映える背景選び」をテーマに、実際に撮り比べた写真をもとにポイントを解説します。
まずは白い背景で撮り比べてみよう
写真撮影の基本は「自然光」で撮ることです。まずは、自然光の中で白の背景を使っていろいろなアングルで撮り比べてみましょう。白の背景だと影の写り方や明るさの違いがわかりやすいので、最初のステップにおすすめです。
背景で変わる作品の見え方
同じ作品でも、背景に写りこむ「色」や「小物」で作品の見え方が大きく変わってきます。作品によってどんな色・物が合うかはまったく異なってくるので、いろいろなパターンを試して最適なものを見つけましょう。
同じ作品で背景の色を変えた例
以下の写真も、同じ作品で背景を変えた例です。それぞれどのような印象を持ちましたか?
木目調(左)と白(右)の背景で撮影したポーチの作品
このポーチの場合は、生地の色味や柄のおもしろさが伝わりやすい「白背景」がおすすめです。
どちらが正解ということではありませんので、下記のようなことを考慮しながら選んでみてください。
- 作品のイメージに合う背景の色はどちらか
- 作品の魅力が伝わる背景はどちらか
- 「この作品がほしい」とお客様が魅力的に感じそうなのはどちらか
次の写真は、イヤリングとネックレスを、木目調の背景と鏡を使って撮影した例です。高級感があるのはどちらでしょうか?
木目調の背景で撮影 鏡を使って撮影
鏡を使って撮影すると、鏡に作品が写り込んで華やかに見え、高級感を演出することができます。
いろいろなパターンの撮影は手間と時間がかかる作業ですが、撮影した写真を見比べてみるとご自身の作品にはどんな背景が合うのか一目瞭然で確認することができます。ぜひ、いろいろなパターンの撮影にチャレンジして作品に合う背景をみつけてください。
さまざまな背景を試した例
背景の違いで、写真から伝えられる印象がどのくらい違うのか、実際に見比べてみましょう。
1. アクセサリーの例
白背景でも十分作品の良さが伝わる写真を撮ることができますが、さらに色画用紙などを背景紙にとりいれると、作品のデザインが持つ華やかさや、ガーリー感がより伝わりやすくなります。
2. 子ども用のおもちゃの例
こちらの作品は、握ると音が鳴る小さなお子さま用のおもちゃですが、白背景だと、少し寂しい印象を受けます。作品の良さであるユニークでポップなデザインがより魅力的に伝わるよう、ビビットカラーを背景に取り入れることで、お子さまが楽しそうに遊ぶイメージが連想しやすくなります。
3. デザイン性の高いシューズの例
こちらの作品は、パッチワークのデザインがとても素敵なメンズのレザーシューズです。
このようにオリジナリティが高い作品は、必ず1枚はシンプルに作品の良さを伝える写真を撮影するのがおすすめです。
オリジナリティが高いことで、実物を見ずに購入するのをためらわれてしまうこともあるかもしれません。その不安や心配をなるべく解消して、作品を安心して購入してもらえるよう、生活に取り入れたイメージができるような写真あわせて撮影してみましょう。身に着ける作品は、どんな洋服に合わせるとよいのかなどのコーディネート例が伝わる写真もプラスすると、よりイメージが沸き、購入につながりやすくなります。
4. 食器や家具、インテリア雑貨の例
こちらも同様に、実際に食卓や部屋に取り入れた雰囲気を伝えてみると、利用シーンをイメージしやすくなるのでおすすめです。
カジュアルな感じや、シックで大人っぽい雰囲気など、実際に使ってみるとどんなすてきな生活や体験が待っているのかが想像しやすくなるように、作品の魅力を最大限写真で伝えましょう。
5. 物語性があるデザインの作品例
作品の物語を伝えるためには、どんな背景がよいのかを考えてみましょう。
こちらの作品は、人魚が岩に腰掛けているユニークなデザインのブローチです。白背景でも十分きれいに撮影できていますが、作品がもつ物語性が伝わりきれていません。そこで、波打ち際のようなグラデーションの背景で撮影してみました。すると、人魚が砂浜で岩に腰掛け、海を眺めてたそがれているような世界観になりました。
作品に込められた物語性は、その作家・ブランドならではのオリジナリティです。他の作品との差別化、希少性を高めることにもつながるので、写真で上手に伝えていきましょう。
6. 和の作品の例
minneは海外からの注文も可能なため、和な雰囲気の作品が注目されることも多くなってきました。そのような作品には、和の色を背景に取り入れ、雰囲気づくりをしてみましょう。
ただし、過度な演出をしてしまうと、かえって作品の良さが伝わりにくくなってしまうこともあるため、あくまでも主役は作品ということを忘れずに、世界観を演出してみてください。
背景の色選びに困ったときは
配色についての本が多数出版されていますので、参考にしてみるのもおすすめです。
背景紙を活用しよう
木やタイル、大理石や植物など、背景に使いたいけど準備がしにくい素材たち。そんな素材感もリアルにプリントされた「背景紙」が存在します。ここでは、3種類のリバーシブル背景紙を使った写真例をご紹介します。
背景紙はしっかりとテープで固定し、レフ板を使用してください。
レフ板の作り方については、以下の記事でご紹介していますので、参考にしてみてください。
シンプルなバッグを被写体にした例
このアイテムを届けたい、使ってくれるお客様を頭の中にイメージしてみましょう。
イメージしたお客様は、どの写真に魅力を感じると思いますか?
コンクリートなど冷たい質感の素材は「かっこいい」「男性的」な印象を与えます。また、鮮やかな背景は「夏らしさ」「涼しげ」「元気」な印象があります。このように、背景紙によって印象がまったく異なることがわかります。
小物が写っている背景紙を活用しよう
以下の写真のように、グリーンや小物がプリントされた背景紙もあります。真ん中に被写体を置くだけで雰囲気がある写真が撮れるため、時間の短縮にもなります。
背景紙を組み合わせて使ってみよう
雰囲気の異なる2枚の背景紙を組み合わせて壁面で撮影することで、奥行きがある写真になります。
平置きが向いている、壁面が向いているなど、作品によってさまざまです。
次の撮影のことも考えて、撮影前の準備やスタイリングのしやすさなど、撮影がスムーズに進められる方法を探りながら、いろいろなパターンを試してみましょう。
透明感のある素材は背景に色をひこう
ガラスなどの透明な作品は、背景に色をひくことで作品の輪郭がくっきりし、質感が伝わりやすくなります。ただし、すべての写真の背景に色がついていると作品本来の色味が伝わらない場合があるので、作品登録する際は、白背景の写真も掲載し、本来の色味がきちんと伝わるようにしましょう。
シンプルな色画用紙ではなく、もっと雰囲気を演出したい、という方は、作品に合いそうな「背景紙」を探してみてください。背景紙は「背景シート 撮影用 壁」等で検索すると、さまざまな販売サイトが出てきます。上で挙げた背景紙はあくまで一部で、色味や素材感のバリエーションはたくさんあります。どんな写真を撮影したいのかイメージを広げつつ、被写体となる作品にとっての理想を探していきましょう。
背景紙を選ぶ際のポイント
- 光沢がある紙は光が反射して撮影がしづらいので、マットな質感のものを選びましょう
- 背景紙を近くで見るとプリントの粗さが気になることもあるので、アクセサリーなどの小さな作品には、できるだけプリントが細かく鮮明なものを選びましょう
- サイズに迷ったら、作品の2倍以上(作品が2つ以上入る)のサイズを選びましょう
背景紙を保管する際の注意ポイント
- 折り目や傷、汚れがついてしまうと、その箇所を避けながらの撮影はとても難しいため、巻いて筒状の容器に入れて保管し、できるだけきれいな状態を保ちましょう
- 四隅をテープ等で固定する場合は、粘着部分や貼ったあとが残りにくい、養生テープやマスキングテープを使用し、撮影が終わったらきれいに剥がしましょう
- 背景紙に粘着部分が残っていたり、汚れているまま使用すると作品にもダメージになるため、注意しましょう
まとめ
- 白背景と自然光に慣れたら、背景にこだわってみよう
- 背景の色・素材感によって写真から伝わる作品の印象はまったく異なる
- 背景にどんな色や素材感があると作品がより魅力的に見えるのか研究してみよう
インターネットでの作品販売が軌道に乗ってきた方は、作品のこだわりや丁寧な手仕事の様子など、伝えたい雰囲気の写真を撮ってブランド力を高め、さらなるステップアップにつなげていきましょう。
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