最近は、自宅でハンドメイド作品がつくれる「手作りキット」の需要が増えています。minneでも、手作りキットは「アクセサリー」や「ファッション」などと並ぶ大カテゴリーに位置しており、これまで何度も特集が組まれるほど人気です。
こちらでは、これから「手作りキットの販売を始めてみたい」方向けに、具体的な進め方をご紹介します。
手作りキットを販売するメリットとは
手作りキットの販売は、通常の作品販売と比較すると、以下のようなメリットがあります。
- 作家・ブランドの技術力を、お客様により深く理解してもらえる
- キットを通して、お客様とのコミュニケーションの機会が増える・広がる
- 「自分でつくってみたい」層との出会いにつながり、新たなファンを獲得できる
- 人気作品をキット化することにより、ニーズに広く応えることができる
- 完成作品の販売以外の新たな収益になる
minneには「ハンドメイド作品を自分でもつくってみたい」と期待して訪れる方もたくさんいますので、手作りキットという新たな商材をつくることで、新たなお客様との出会いにつながり、完成作品の販売とはまた違った収益を得るチャンスが増えるのです。
1. どんな「手作りキット」をつくる?
刺繍、アクセサリー、ハーバリウム、食品サンプルなど、手作りキットとして販売されている作品はどんどん多様化しています。キットのかたちに正解はなく、完成形はもちろん、作業工程や内容物にも個性を出せるので、作家・ブランドのみなさまにとっても工夫のしがいがある商材です。
「どうやってキットをつくり始めれば良いかわからない」と悩んでしまう方は、まず作品づくりの中で楽しんでもらえそうな工程はどれか?を考えてみましょう。お客様にどのようなハンドメイド体験をしてほしいかを考えてみると、キットに落とし込むポイントが浮かび上がってきます。
「どんな作業内容にする?」から考えてみる
ひとことで「手作りキット」と言っても、30分程度でつくれるものもあれば、数時間~数日間かけてじっくりつくるものもあります。
作品づくりの最初から最後まで、すべての工程をキットに落とし込む必要はありません。一部を切り取った内容でもOKです。
作家のみなさまにとってはシンプルに感じる工程でも、ハンドメイド好きな方にとっては充分「楽しいハンドメイド体験」になります。
実際に販売されているキットの例
木材を使用したカラフルな雑貨を作られているmarimachoさんのキットです。あらかじめカット&刻印がされているので、塗り絵感覚で自分好みのカラーに仕上げられるようになっています。
国産の天然木材を使った貼り絵=「木はり絵」を作られている木はり絵工房きのわさんのキットです。薄くスライスされた木を貼り合わせていく工程は、だんだんと出来上がっていくワクワク感があります。
お客様の購入目的からキット内容をイメージしてみる
お客様が手作りキットを購入する主な目的はなにかを考えてみましょう。
- 技術の習得のため(学習目的)
- 子どもとの遊び、学習機会(夏休みの自由研究など)
- ものづくりの楽しさを体験&共有する(レジャー)
- 大切な人への心のこもった贈り物として(プレゼント) など
自分でつくる以外にも、ご家族やお子様用として、プレゼントなど、用途もさまざまです。
おうち時間が増えたことで、手作りキットの購入目的や用途にも広がりがみえてきているので、そういった視点からキットの内容をイメージしてみるのもおすすめです。
2. 制作手順の伝え方
キットにする作品と、おおよその制作内容が決まったら、次は作業の手順(工程)をまとめた説明書を作りましょう。
ワークショップであれば、対面でレクチャーを行うことができますが、手作りキットの場合は、直接教えることが出来ないからこそ、わかりやすく工程が書かれたテキストが必要です。
まずは、すべての工程を書き出してみて、次にひとつひとつの工程に詳しい説明文を付け足していくと、まとまりやすいです。
説明文は、「ハンドメイド初心者」の気持ちになって、わかりやすく伝わる言葉を選ぶことを意識してみましょう。また、テキストに画像やイラストを入れることで、制作のイメージがより明確になります。
実際に販売されているキットの例
小さなドールハウスを作られている豆本ドールハウスさんのキットです。手順ごとに大きく見やすい画像が添えられており、細かな部分をどう制作すればいいかが一目でイメージできます。
カラーペーパーを用いた色鮮やかな切り絵を作られている祐琴(切り絵)さんのキットです。イラストを使って、言葉では伝わりにくい制作のコツを説明されています。テキスト全体の文字色がワントーンで、すっきりした印象です。
ミニチュアスイーツやフェイクスイーツを作られているkaori morihiraさんのキットです。手書きのテキストにすることで、作家や作品の雰囲気が伝わってきます。
手書きの説明書でもOK
工程と説明文を手書きし、紙に印刷する方法もあります。手書きのテキストには、作家の個性やあたたかみが感じられるというメリットもあります。説明文はパソコンで作り、イラストのみ手書きで入れ込んでもよさそうです。
動画で伝えるやり方も
よりわかりやすくイメージしてもらうために、制作過程を動画で撮影する方法もあります。言葉では説明が難しい細かい工程も、動画があることで伝わりやすくなります。
動画は、商用利用可能な動画共有サービスにアップロードし、テキストにURLもしくはQRコードを入れましょう。少し知識と技術のいる方法ですが、一度動画をつくってしまえば、その後は汎用的に使うことが出来ますので、ぜひチャレンジしてみてください。
他の方の意見も参考にする
説明が伝わるかどうかが不安なときは、ご家族や友人に説明書と材料を渡して、一人で完成させられるかを試してもらうのもよいでしょう。自分では気づかなかったポイントが見つかるかもしれません。
3. 「手作りキット」には何を入れればいい?
販売する手作りキットには、何をどこまで入れればよいでしょうか。作品制作の中で必要なものを洗い出し、どこまでの材料や道具をキットとしてお届けできるか、考えてみましょう。
材料はどうする?
必要なものは、できる限りすべて入れるようにしましょう。
お客様、特にはじめてハンドメイドにトライする方は、使い慣れない材料を買うことにもハードルの高さを感じてしまいます。最初から材料が揃っていることで、初めてでも安心して購入してもらうことができます。
道具はどうする?
道具に関しても、あらかじめキットに含まれていると親切です。ただ、お客様が専用の道具をすでに持っていたり、おうちにある物で代用可能な場合もありますので、オプションで道具を追加購入できるようにする方法がおすすめです。
必要な道具をお客様に準備していただく場合には、「どんな道具が必要か」をあらかじめ作品ページに記載しておきましょう。なお、専門店でしか買えないような特殊な道具は、キット内に含んでおく方が良いです。キットの価格、内容物のボリュームとバランスをみながら考えてみましょう。
実際に販売されているキットの例
ニードルパンチ刺繍のバッグやポーチを作られているL.A. Vidaさんのキットです。必要な材料と道具がすべて入っているので、届いたその日から作り始められます。同じ作品デザインで材料のみの販売ページも別で作られているので、リピーターも購入しやすい工夫がされています。
押しフルーツのスマホケースを作られているastin muhlerさんのキットです。UVレジンを使用するため、マスクや手袋を同封し安全対策をされていて、安心して購入することができます。UVライトがオプション購入可能になっているのも、初心者さんには嬉しいポイントです。
4. 「手作りキット」のかたちにしてみよう
1~3の準備が出来たら、いよいよ手作りキットのかたちにしてみましょう。
材料はパーツごとに小分けにパッキングするなど、あらかじめ制作がしやすい状態にして発送すると、親切で喜ばれます。
実際に販売されているキットの例
ドライフラワーやプリザーブドフラワーなどの資材を販売されているあじさいやさんのキットです。パーツや金具ごとにすっきりとまとめられています。開けたときに、華やかなあじさいのパーツが目に飛び込んできます。
このように、つくることが楽しみになるようなパッケージの工夫があるとワクワク感が高まりますので、ぜひ取り入れてみてください。
スタイリッシュなアクセサリーを作られているatelier CHARMANTさんのキットです。正方形に統一されたテキストと材料が特徴的で、作家や作品のイメージが一目で感じ取れるお洒落なパッケージになっています。
オリジナルの手作りキットで活動の柱を増やそう
キットのかたちに正解はありません。完成形の作品だけでなく、ぜひ作家・ブランドのみなさまの強みを活かして、制作工程も1つの商材としてご検討ください。「手作りキット」を通して、ハンドメイド体験をひとりでも多くの方にお届けいただき、ハンドメイドの楽しさを広げていきましょう。
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